脱力法

声枯れへの対処法|声帯の使い方を変えて脱力した発声を

歌手や声優、教師、接客業など、声を使った仕事をしている人が悩むこと

「声枯れ」

このような職業のひとは当然ながら、声が枯れてしまうと仕事に支障を来してしまいます。

レッスンをしていると、このような悩みから発声だけを学びに来る人が結構います。

この記事では、この原因と解決するための方法を紹介していきます。

声が枯れやすい

大きな声を出すとすぐに枯れてしまう。

歌うと枯れてしまう

声を使う職業についている

これらに当てはまる方は是非参考にしてみてください。

この記事は「発声のメカニズム」(萩野仁志、後野仁彦著)より画像を引用させていただいております。

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「医師」と「声楽家」が解き明かす発声のメカニズム―いまの発声法であなたののどは大丈夫ですか

萩野 仁志

発声器官を観察

まずは自分の声がどのような仕組みで出ているか確認するために

発声器官を観察していきましょう。

声帯 上から

上写真の模写

「発声のメカニズム」(萩野仁志、後野仁彦著)より

写真上部が身体の後ろ側になります。

写真中央にある、二本の太いラインが「声帯」です。

食道と声帯はすぐ隣にあり、空気は声帯の間を通って、気管、気管支、肺へと流れていきます。

ものを飲み込む時には声帯のすぐ脇にある「喉頭蓋」が声帯の上に被さり、食べ物が気管に入らないように蓋をします。

声帯 横から

「発声のメカニズム」(萩野仁志、後野仁彦著)より

声帯を横から見たときの図です。

2枚のヒダがあり、発声時はこれらが合わさります。

この声帯は喉頭と呼ばれるボックスの中に入っています。

喉頭(喉仏)正面

緑の線を引いたところが喉頭(いわゆる喉仏)です。

喉頭(喉仏)後ろ側から

喉頭(喉仏)上から

真ん中に書いた丸の部分が先ほどの声帯の写真の部分です。

声帯の長さは1.5cm〜2cm程度です。

声の出るメカニズム

2枚の声帯の間を、「息が通ることによって」振動が生まれ、音になります。

唇をぶるぶる震わせたり、少し力をいれて口を閉じ、息を流すと「ブー」と音がなりますが、これと同じことが声帯で起こっています。

言葉は口の中の形を変え、そこに音が通ることで作られます。

声帯では音だけが作られ、まだ言葉は作られません。

声が出ている時の動き

呼吸時

「発声のメカニズム」(萩野仁志、後野仁彦著)より

息を吸っている時には声帯が大きく離れています。

奥に見えるのは気管です。

発声時

「発声のメカニズム」(萩野仁志、後野仁彦著)より

二つの声帯が合わさり、息がその間を通ります。




声は弦楽器と似ている

声は弦楽器と発音の仕組みが似ています。

ヴァイオリンを思い浮かべてください。

弦を弓で弾くことによって音がなります。

声の場合は

弦が声帯、弓が息と同じ役割になります。

弓を強く弦に押し付けると「ギーギー」なってしまい、聞き苦しい音が出てきます。

逆に力を入れな過ぎてもスカスカな音になってしまいます。

これらの間にあるバランスの取れた力加減で、滑らかに弓を弾くことが綺麗な音を出すためには必要になってきます。

大きな声が出る仕組み

声の大きさには次の3つの条件がそれぞれ関わってきます。

  1. 声帯の閉める力
  2. 声帯の間を通る息のスピード
  3. 身体にある空間の響き

これらをコントロールすると声量をコントロールすることができます。

①息が効率よく音に変わるように声帯の閉める力を調節する

先ほどのヴァイオリンの例でもわかるように、しっかりとした声量を出すためには最適な力加減があります。

喉に力が入った声は弦に弓を強く押し付けている状態

掠れた声、息の多い声は力を抜きすぎてしっかりとした音になっていない状態

このようになっていると考えましょう。

自分がどの状態にあるかわからないひとはボイストレーナーに聞いてもらいましょう。

②息のスピードを速くしていく

吐く息のスピードをあげることで大きな音を出すことができます。

リコーダーなどの管楽器を吹いたことのある人はどのようにして大きな音を出すか思い出してみてください。

思い切り息を吹き込むと大きな音になります。

これは大量の息を吹いているのではなく、楽器の入り口部分において息のスピードが速くなっています。

この速さは音の大きさに比例しています。

③身体に備わっている拡声器を使う

メガホンを通すと声は大きくなりますが、

これと同じことが楽器や人の身体でも起こります。

楽器の場合は楽器本体が音を増幅してくれます。

人の身体の場合は

身体の中にある空洞が声帯で生まれた音を大きくしてくれます。

「発声のメカニズム」(萩野仁志、後野仁彦著)より

上の写真で黄色く染まっている空洞部分が音を拡声してくれます。

この骨格は皆それぞれ違いますので、響きやすい骨格を持っている人は、話し声から大きくなります。

大きな声を出すための方法

大きな声が出る仕組みはご説明しましたが、実際に上の3つの仕組みを使うためには

「おなかを使った発声」をする必要があります。

この「おなかを使う」とは

「横隔膜の支え」を生み出すということと同意義です。

胸郭の1番下には横隔膜という大きい筋肉があります。

https://datsuryoku-life.com/the-major-muscular-transverse-membrane-of-the-respiration/

大きな筋肉である「腹筋」で生まれた力を、この同じく大きい横隔膜で受け止められると声帯の負担が少なく大きな声が出せるようになります。

これがおなかを使った発声です。

笑った時、遠くに向かって声をかける時、横隔膜に自然と力が入っていますが、トレーニングしないと意識的には動かすことが難しい部分です。

声が枯れる人は大きな声を間違って捉えていませんか?

大きな声を出す時に、声を張り上げますよね。喉に力を入れることで大きくなると考えていませんか?

喉が枯れる人は、おなかからの強い息を「喉を締める力」で抑えています。たしかにこれでも大きな声は出せます。

しかし、発声器官は小さな筋肉の集まりなので、長い時間負担をかけてしまうと声帯に炎症が起きてしまいます。

その結果、声帯が綺麗に合わなくなり、ガラガラの声になってしまいます。



声枯れをしないためには

声帯で締めないように、喉、そして周りの筋肉の脱力が必要です。

声を枯らさないための脱力トレーニングをしていきましょう。

首まわりを脱力しよう

首まわりに力が入り、

そのせいで喉頭まわりの筋肉に力が入ってしまうことが多々あります。

そういう時はかすれた声、または帯をきつく締めた声になり、響きが失われてしまいます。

打楽器や、金属、硬いものを叩くと響きますよね。しかし、それを手で押さえて叩くと響きはすぐに失われ、音が小さくなってしまいます。

脱力して響かせましょう。

優しく声帯を使う練習

脱力して「あ」母音でロングトーン、長く声を出してみましょう。

  • 首まわりを楽にし、声を出すつもりで息を送ると自然に声帯は閉じ、音になります。
  • なるべく2枚のヒダである声帯を閉めようとせず、優しく使ってあげましょう。

最後に

いかがでしたでしょうか。

発声器官は普通では見えない部分なのでイメージが難しいと思われます。

レッスンでは音で判断しておりますが、なかなか難しいので

自分の状態を知るには聞いてわかる人の元へ(ボイストレーナーや声楽家)行くのも手かと思います。

この記事の参考にできるところがあれば取り入れてみてください。

最後まで読んでいただきありがとうございました。