あがり症は対人恐怖症のひとつであり、不安感が強くなると生まれてきます。
しかし、この不安感や感情は、実態がないため曖昧に捉えてしまい、
何が自分の中で不安なのか、なぜ不安感が生まれたのかをを具体的に把握しようとしないことが多いです。
そうすると何も対策ができずに流してしまう。
何も対策しないので次も同じことを繰り返す。
なんてことになってしまいます。
この記事では、そんな心理的要因を細かくカテゴリー分けし、自分が何に対して不安感を持っているのかをつかめるようにまとめました。自分自身の経験と照らし合わせながら読んでいただけると理解が進むと思います。
この記事は「歌手ならだれでも知っておきたいからだのこと」という書籍を参考にしています。[itemlink post_id=”485″]
この書籍では発声のために購入したのですが、巻末にあがり症についての対策がまとめられており、論文を書く際に参考にさせていただきました。
この書籍の著者(バーバラ)はあがり症を以下の4つのタイプに分類しております。
- 胸騒ぎ
- 自意識過剰
- 準備不足によるさまざまな感情
- 病的で活力を失わせるほどのおびえ,恐怖心,不安,パニック
各タイプに対する対処法はそれぞれ異なるため,4つのタイプを特定し区別できることが重要であると言っています。
バーバラが分類したあがり症の原因の各タイプについて紹介していきます。
この記事の概要
「胸騒ぎ」について
これは、演奏直前の数時間前に起こり,時に強烈な不安を伴う感覚です。
この症状が現れる原因の第一として,「予期不安」をあげられます。
予期不安とは
過去のあがってしまった経験から,再びそのような状態に陥るのではないかと非常に恐れたり,他の人があがってしまったのを見て,自分もそうなるのではないかとひどく不安になる状態です。
あがり症の人でしたら、だいたいなりますよね。
本番前に逃げたくなる気持ちが生まれる時
この予期不安のために,あがりそうな場を全部逃げてしまうと人もいます。
怖い気持ちはとてもわかります。
しかし,この本でバーバラさんは,演奏が始まると同時に消える身体反応であり,演奏には良い影響を与えると言っています。
つまり、このそわそわ感は、パフォーマンスを崩すものではないということです。もし、崩れてしまったのならば別なことが要因と考えられるでしょう。
「自意識過剰」について
あがりやすい人は他者の評価に非常に敏感です。
特に周りから低く評価されることを強く恐れ,その背景に,他者から高く評価されることを強く望んでいることが読み取れるでしょう。
他人が自分をどう見ているかを気にしすぎる状態も,あがりの状態を引き起こす下地となる思考傾向です。
実際とずれている自分の認識
自らの想像や思い込みによって物事を否定的に捉えてしまうことがありますが、それは実際は現実や事実とずれていることが多いです。
あがっていない時には意識は自分以外に向いている
家族や親しい友人と話しているときに緊張しないのは,周りの人から見られていると意識していないためであり,その状態を,「意識の方向」が相手に向いているからです。
あがっているときに考えていること
また,あがりの状態に陥っている時の思考について,以下の例をあげられます。
・緊張しないか不安だ
・うまく話せるか
・手足が震えたら嫌だ
・顔が赤くなったら,どうしよう
・バカにされたくない
・内容に自信がない
・すごいと思われたい
自分のことばかり考えている『自分視点』だから緊張するのであり,相手に気持ちを向ける『相手視点』に立てば,相手を当然見るようになり,緊張しなくなるのです。
相手視点に立つために
相手視点に立つということは、普段からしていないと難しく、想像力も必要です。
また、人は皆、当然のことながら自尊心があるので、自意識過剰になるのは必然的だとおもいます。だからこそ、はっきり自分で自覚していないと変えることはできません。
謙虚な気持ちで自分を省みる、そういう作業は絶対必要だと思います。
「準備不足によるさまざまな感情」について
準備不足と罪悪感
準備不足でパフォーマンスに臨むと,罪悪感,パニック,逃げたくなったり、恐怖を感じたり、様々な感情が表れてしまうことがあります。そしてこれらの感情のうち,特に支配的なのが「罪悪感」であるといいます。
これらの感情が表れてくると、あがりの症状がどんどん出てきてしまい、止めるのが難しくなってきてしまいます。
徹底して準備をし、これらの感情をなるべく抑えられるようにしましょう。
「保有能力」と「発揮能力」
パフォーマンスで力を発揮するためには「保有能力」と「発揮能力」の二つが必要です。
「保有能力」とは実力を蓄え,それを着実に伸ばしていく力のこと,
「発揮能力」とはその力を本番で発揮する力です。
パフォーマンスの完成度は掛け算
パフォーマンス=保有能力×発揮能力です。
自分が普段トレーニングしているのが、どちらの能力なのか、自覚していることが大切です。
本番でうまくいかない人の盲点
本番でうまくいかない人は、保有能力の方しかトレーニングしていないことが多いです。
そして、発揮能力を鍛えた経験が少ないために、そのやり方もわからないでしょう。
「病的で活力を失わせるほどのおびえ,恐怖心,不安,パニック」について
活力を失わせるほどのおびえや,恐怖心,不安,パニックが生じることにより,あがりの身体反応が起こります。
その反応は人によって様々ですが、過度の発汗や震えなどの他,音が遠くで聞こえる,譜面が読めないなどの感覚の混乱が起こる場合があります。
恐怖心とあがり
クーエという自己暗示法の創始者は以下のように述べています。
避ける必要のあるさまざまな破壊的暗示のなかでも,恐怖ほど危険なものはない。何かを恐れると,心が否定的な考えにこだわるだけでなく,その考えとわれわれ自身の間にもっとも密接な関係をつくりあげてしまう。
このように、恐怖は強く自分自身を支配してしまうため、コントロールすることが難しいでしょう。
[itemlink post_id=”485″]


