脱力法

腹式呼吸の罠〜「肩をあげるな」は間違い⁉︎

レッスンで呼吸法を指導していると、腹式呼吸の罠にはまってしまう方がよくいます。

ここでいう罠というのは、腹式呼吸を意識することで、過剰な力が入ってしまい、結果的に自由な呼吸ができていない状態です。

・「胸式呼吸」はしないで「腹式呼吸」をする

・お腹を出すのが腹式呼吸

・肩をあげるなと先生にならった

これらの事柄にピンと来るかたは注意です。

呼吸で動く筋肉

まずは呼吸に関する筋肉を確認していきましょう。各々の筋肉について、詳しくは他のページにまとめておりますので、リンクから見てみてください。

肋骨の挙上(吸気時)で使う筋肉

https://datsuryoku-life.com/muscle-zykan-mae-saws/

https://datsuryoku-life.com/an-intercostal-intercostal-muscle-extending-the-rib-cage/

https://datsuryoku-life.com/a-muscle-that-raises-the-thorax/

https://datsuryoku-life.com/large-muscle-and-thoracular-muscle-of-the-neck/

肋骨の下制(呼気時)で使う筋肉

https://datsuryoku-life.com/muscle-zoole-the-back-of-the-back-the-muscle-of-the-back/

https://datsuryoku-life.com/a-muscle-or-internal-intercostal-muscle-that-exhales-a-muscle-projection-or-breath/

なぜ胸式呼吸はだめと言われるのか

歌の指導を見ていると先生から

「胸式呼吸はせずに腹式呼吸をしなさい」

と言われてきた生徒さんによく会います。

ここで注意しなければならない点があります。

胸式呼吸は悪いわけではなく、これが起きる原因として「腹筋の脱力ができていないこと」が挙げられます。

息を吸う時に、横隔膜という筋肉が下に下がっていきます。詳しくはこちらの記事を参考にしてください。

https://datsuryoku-life.com/the-major-muscular-transverse-membrane-of-the-respiration/

横隔膜が下がると内臓が下方へ押されます。

この時押された内臓は骨盤の中へ、骨で囲まれていない腹部へ押し出されていきます。

もし、腹筋に力がずっと入っている状態であれば、内臓の逃げ場が少なくなり、横隔膜を下げることができません。

力の入りにくい胸部周りのほうが広がりやすいので、胸部だけで呼吸するようになってしまいます。

胸を動かすなと指導する人は、胸部の筋肉の動きを制限することによって、横隔膜を動かさざる得ない状態を作ろうとします。

腹部の脱力の感覚を生み出すには良いですが、そのままでいると胸まわりの筋肉が収縮したままになり、この部分の脱力ができなくなっていってしまいます。

なぜ腹筋に力が入ってしまうのか

腹筋は力が入りやすい筋肉の一つです。その原因には

・腹部には内臓が入っており、守らなければならない。

・身体のバランスが崩れた時に体幹を支える役目を担っている

ことが挙げられます。

人間の動きの可動域を大きくするためにこの部分は背骨しかありません。

非常にバランスが崩れやすい部分なのです。

そして体幹を支えるためにはどうしても腹筋の力を使うことになります。

重いものを持ち上げる時、運動するときなど、体幹をしっかり支えなければならない時には特に力が入ります。

腹筋の脱力をするためには

腹筋は前側だけでなく、背中まで広がっています。

 

これら全ての腹筋の力を抜くためには、骨格でバランスを取れるようにならなければなりません。

特に腹部より上の胸部、頭部のバランスが重要です。

前に傾いていれば背中側に力が入り、後ろに反っていれば前の腹直筋などに力が入ります。

骨格で身体を支えることについては下のページにて紹介しております。

https://datsuryoku-life.com/how-to-stand/

正しい呼吸法とは

正しい呼吸法を身に付けたいのであれば、より緊張が少ない楽な呼吸を目指していきましょう。

なるべく体全体の筋肉を呼吸に同調させ、動きの可動域を広げていきましょう。

レッスンでは「全身呼吸」と呼んで指導しています。

息の吸い方

呼吸は吐く行為から行っていき、その流れで吸っていきます。

  1. お腹周りが均等にしぼんでいくようにゆっくりと息を吐きましょう
  2. 息がなくなるまで吐いたら、おなかの力を一瞬で緩め、自然に入ってくる空気を取り込みます。
  3. この時に胸郭周りも一緒に膨らんでいきます。胸郭の中心から全方向に放射状に広がるようにイメージをしましょう。

最後に

  • 呼吸で「胸や肩を動かすな」は間違いであり、胸郭まわりを押さえつける力が働いている
  • 胸部も動かしてよい
  • お腹が膨らまないのは脱力ができていないため
  • 呼吸は胴体全体で行われる

楽に深い呼吸をすることができるようになると、パフォーマンスが上がる他、健康に良いのでぜひ試してみてください。