ヴォーカルレッスンをしていると、
「滑舌を治したい」という方がたまにきます。
前に相談にきた方は、
「た行」と「さ行」が言いにくい
ということでしたので、とりあえず話し言葉と歌を聴くと、たしかに力が入る感じと
息が全く出ていないことがわかったので、言葉がどのように作られるのかを説明しました。
滑舌で悩まれている人は、次のような原因が考えられます。
- 身体構造の都合で発音しにくい(噛み合わせ、下の長さなど)
- 普段からの体の使い方に力みが入るようなクセがついている
どちらか1つが当てはまる方、両方とも当てはまる方がいると思います。
どちらも言葉の構造を学び、一から言葉を作っていくことで改善することができます。
言葉の発音は新たに作り直すことができる
クラシックの歌を学んでいると、同じ言葉でも舌の位置などを調節して一つ一つの言葉を作っていく作業をするのですが、
普通はそのようなことはせず、子供の頃から使っている話し方、出し方で会話しているので、言葉を作るということになじみがないかもしれません。
しかし、言葉は構造を知ることで、明瞭かつ脱力して発音することができます。
つまり言葉として質を高めていくことができるのです。
言葉を作るときにはアルファベットで考えるとわかりやすい
日本語とアルファベットを使う言語では「表記の仕方」に大きな違いがあります。
日本語の場合「た」
アルファベットの場合「TA」
ですね。
日本語は子音と母音をくっつけて一つの表記で表しますが、
アルファベットは子音と母音を両方分けて表記します。
これは発音にも関係しており、発音する場合でも分けて発音していきます。
言葉作りの実践
「た」の発音で実践してみましょう。
アルファベット表記にしますと
「T」+「A」となります。
「T」が子音で「A」が母音になります。
まず子音「T」だけ発音してみましょう。
舌の力を抜いて顎の力も抜いてだらーんとしてください。
その状態で舌の先、縁の部分をピトっと上顎の面にそえるように優しくくっつけます。
そうしましたら、舌の力は使わずにお腹からの息を送り出し、優しく弾いてみましょう
いかがでしょうか。脱力したまま「T」が出せましたでしょうか。
ポイントは口周りの力ではなく、お腹からの息の力で発音するとこです。
この「T」を出した後に、息の惰性で「A」を発音します。
外国人が話すときのような発音になり、
普段話す時の「た」の発音とは全然違うと思います。
この「T」と「A」の間が短くなるほど日本語の「た」になります。
日本語の場合は完全にくっついています。
外国語と日本語の違い
欧米外国人の方が日本語をはなすときに違和感を感じるのは、これが1つの理由です。
しかし、歌では日本語の歌でもなるべく子音と母音を分けて歌った方が発声的に良いです。
母音で歌って子音を乗っけていく感じで歌うと良いでしょう。
ところどころ発声的に難しいポイントがありましたらこの方法を試してみてください。


